ネルンストの式・電池電圧ラボ

標準還元電位の組み合わせから電池を組み立て、イオン活量と温度を設定し、一次元および対数Q軸で電池電圧の変動を確認できます。

インタラクティブシミュレーションを読み込んでいます...

濃度の変化は電圧をほとんど動かさない:1桁あたり59.16 mV(nで除算) 🖖

ネルンストの式 E = E° − (RT / nF) ln Q から、電圧が濃度比 Q の対数に依存することがわかります。25 °C かつ n = 2 の場合、Q が10倍変化しても電位はわずか 29.58 mV しか動きません。生成物と反応物の比が百万倍(Q = 10⁶)変わったとしても、電位の変動は 0.18 V 未満に収まります。電池が切れる寸前まで公称電圧に近い値を保つ理由はここにあります。電圧を決定するのは反応物の残り量ではなく、関与する化学反応そのものだからです。最終的に固体の枯渇や内部抵抗の増大によって電流が途絶えるまで、この状態が続きます。

59 mVルールは定数ではなく温度に依存する 🖖

係数 2.303 RT / F は 25 °C で 59.16 mV / dec ですが、60 °C では 66.10 mV に拡大します(約12%の変動)。この熱ドリフトがあるため、pHメーターなどの電気化学測定器には自動温度補正が不可欠です。

放電した電池は化学平衡に達している:1つの関係、2つの読み取り 🖖

ガルバニ電池が放電し尽くして E = 0 V に達したとき、反応商 Q は平衡定数 K に等しくなります。25 °C において E = 0 を代入すると、log₁₀ K = n E° / 0.05916 V が得られます。ダニエル電池の場合、log₁₀ K = 37.31(K ≈ 2.05 × 10³⁷)となります。濃度比の変化だけで電位をゼロにするには、生成物と反応物の比として 10³⁷ が必要になる計算です。標準電位が大きな電池の反応が実質的に最後まで進行するのはこのためですが、標準電位が小さな組み合わせでは必ずしもそうとは限りません。例えば Fe³⁺/Fe²⁺ に対する Ag⁺ の反応は 0.0286 V で自発的に進み、K = 3.04 で平衡に達します。これらは ΔG° = −nFE° = −RT ln K という関係式で直接結びついています。

全プロセスの詳細解説

  1. ダニエル電池が消費する金属の1キログラムあたりのエネルギー 6 ステップ

    ダニエル電池の起電力は 1.1037 V です。消費される金属1キログラムあたり、これはどれほどのエネルギーになるでしょうか。また、どの要素を一つ置き換えれば、その値は5倍になるでしょうか。

    1. 標準電池電位は、正極の還元電位から負極の還元電位を引いた値です。銅は +0.3419 V、亜鉛は −0.7618 V であり、その差が 1.1037 V となります。ここでは両方のイオンが単位活量であるため、Q = 1、log Q = 0 となり、ネルンストの式による補正項は完全に消えます。ツールの「セル電圧」カードと「標準電圧」カードのどちらにも同じ 1.1037 V が表示されるのはそのためです。

    2. 亜鉛は電子を二つ放出し、銅(II)は二つを受け取ります。したがって n = 2 となり、反応1モルあたり 2F = 192,970.7 クーロンの電荷が移動します。「電子」カードの表示は 2 です。

    3. 電荷と電位の積が仕事です。反応1モルにつき ΔG° = −nFE° = −212,982 J であり、「ΔG」カードでは丸められて −213.0 kJ/mol となります。これが1モルあたりの電気エネルギーの総量です。

    4. 次は質量について考えましょう。反応1モルによって金属亜鉛1モル(65.38 g)が消費され、溶液中から銅1モル(63.55 g)が析出します。この二つの金属だけを計算に入れると、213.0 kJ あたり 128.93 g の金属が関与する計算になります。銅を溶液に持ち込む硫酸塩も実際の質量を持っていますが、ここでは無視しています。そのため、以降のエネルギー値はすべて理論上の上限となります。

    5. 212,982 J を 0.12893 kg で割ると 1.652 MJ/kg、すなわち 459 Wh/kg が得られます。

    6. 亜鉛をリチウムに置き換えてみましょう。ツールの電極リストにおけるリチウムの電位は −3.0401 V です。E° は 3.3820 V になりますが、リチウム原子一つが電子を一つ手放すのに対し銅は二つを必要とするため、Cu²⁺ + 2Li → Cu + 2Li⁺ となり、n は 2 のまま変わりません。このとき ΔG° は −652.6 kJ/mol で、反応物の質量は 2 × 6.94 + 63.55 = 77.43 g となり、結果として 2341 Wh/kg という値が導かれます。

    解答

    亜鉛と銅は消費する金属1キログラムあたり 459 Wh を蓄え、リチウムと銅は 2341 を蓄えますが、その理由は電圧の違いだけではありません。電位は 3.064× 上昇し、反応物は 1.665× 軽くなります。その積が 5.10 となるのです。つまり、電池を選ぶ際に「電圧」カードの順位だけを見ると判断を誤るということです。代わりにリチウムと臭素を組み合わせると、E° は 4.1061 V へとさらに上昇しますが、比エネルギーは 1267 Wh/kg に落ち込みます。銅が 63.55 であるのに対し、Br₂ は 159.81 g だからです。このページにはモル質量の情報が一切ないため、いくら組み合わせを試したところでツールにこの比較はできません。リチウム電池を実際に組み立てる前に、一つ注意点があります。金属リチウムを硫酸銅水溶液に入れると、リチウムは銅ではなく水と反応してしまいます。標準電位が教えてくれるのはどの反応が進行し得るかということであり、実際にどの反応が起こるかまでは決して分からないのです。

  2. 六十度に温められた、切れた電池 6 ステップ

    温度補正の変動 (60 °C)を読み込んでください。同じダニエル電池を、三十五度だけ高い温度にしたものです。「ネルンスト傾き」のカードは動きますが、「電池電圧」のカードは動きません。K に何が起きたのかを求め、そのうえで平衡状態の電池 (Q = K)の電池がこの温度でもなお平衡のままかどうかを判断してください。

    1. 両方の活量が1なので Q は1、その対数は0です。ネルンストの補正項は消え、電池電圧は標準電圧に等しくなります。25 °Cでも、60 °Cでも、ツールが受け付けるどの温度でも同じです。ΔG も動きません。

    2. 動くのは傾きのほうです。2.303RT/F の中に T が残っているからです。三十五ケルビンは12%の上昇にあたり、二つのカードの値はちょうどその比になっています。

    3. 平衡定数は、同じ傾きを別の使い方をしたものです。E をゼロと置けば、log₁₀ K は標準電位を電子2個分の1桁あたりの傾きで割った値になります。

    4. 電池を三十五度温めただけで、四桁近くが失われました。

    5. これで切れた電池の話も決まります。あの活量比は、25 °Cで K に等しくなるように選ばれていました。60 °Cでは、その比は K より3.92桁だけ上にあり、電圧は負になります。

    6. その大きさを信じる前に、一つ正直に述べておくべきことがあります。このツールは温度が変わっても E° を固定したままにしており、温度によって変化しない標準自由エネルギーには、エントロピーが一切含まれていません。

    解答

    いいえ。60 °Cでこの電池は −129.5 mV を示し、ΔG は +25.0 kJ/mol です。亜鉛が析出し、銅が溶け出します。電池は電源ではなく負荷になっており、いまつなげば、比が新しい小さな K まで下がるまで反応を逆向きに進めることになります。

    実際の電池には E° の温度係数があり、このページはそれを扱っていません。ですからこの四桁は、測定結果ではなくツールの仮定の帰結として受け取ってください。仮定を外しても残るのは形のほうです。E° を固定すれば log₁₀ K は 1/T を抱えるので、示された平衡定数は、電極の組み合わせについての主張であると同時に、温度についての主張でもあります。同じ二つの金属を同じビーカーに入れていながら、カードは一方の画面で37.31、もう一方で33.39を示すのです。

参考文献 (2)

例題