一次系ステップ応答ラボ

ゲイン、ステップの大きさ、時定数を調整して、指数的な応答が変化する様子を見よう

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レッスン

理論 — 一次系ステップ応答ラボ

一次系とは、変化の速さが「まだ残っている距離」に比例する系のことです。急に加わる一定の入力 —— ステップ —— を与えても飛び移りはせず、残った差を一定の割合で詰めていき、新しい落ち着き先へ指数関数的に近づいていきます。時定数 τ とは、その差が最初の 1/e まで縮むのにかかる時間です。

各記号の意味

K
ゲイン。入力 1 単位あたり、最終的にどれだけの出力を返すか。
A
t = 0 で加えるステップの大きさ。
τ
時定数。単位は t と同じ。ここで時間の進み方に影響する唯一の記号です。
K·A
指数関数が尽きたあと、出力が落ち着く最終値。

公式の導き方

  1. 公式ではなく物理的な前提から始めます。一次系は、目標までの残り距離に比例した速さで変化します。残りが多いほど速く動く、ということです。式にすれば dy/dt = (K·A − y)/τ、整理して τ·dy/dt + y = K·A
  2. 変数分離して積分します。dy/(K·A − y) = dt/τ から −ln(K·A − y) = t/τ + c
  3. 初期条件を入れます。ステップの前は静止しているので y(0) = 0。これで積分定数が決まり、K·A − y = K·A·e^(−t/τ) が残ります。この一行だけを読んでください。指数関数的に減っていくのはのほうであり、単純なのは出力ではなく差なのです。
  4. したがって y(t) = K·A(1 − e^(−t/τ))。残っている割合は e^(−t/τ) で、tτ には比を通してしか依存しません。この一点だけで、あの一覧表がすべて決まります。τ 1 つで差は 1/e、つまり 63.21% 完了。3τ で 95.02%、5τ で 99.33%。これらの数値は、ゲインでもステップの大きさでも動かせません。

表示の読み方

緑の曲線が y(t)、灰色の破線が最後まで届かない最終値 K·A です。縦の目盛線は 1τ から 5τ を示すので、一覧表の百分率をそのまま曲線の上で読み取れます。オレンジの破線は手順 4 を目に見える形にしたもので、初期勾配 K·A/τ で原点を出発し、ちょうど時定数 1 つ分のところで灰色の線と交わります。交点には点が打ってあります。青い帯は最終値の ±2%、工学でいう「到達した」の通常の定義です。縦のマーカーは「時刻」欄で指定した瞬間を表します。下の表は、いま自分が乗っている τ の行を強調します。

前提
蓄えの要素が一つだけであること、ステップの前は静止していること、そしてステップが瞬時に立ち上がることを前提にしています。線形性も仮定しています。ステップを 2 倍にすれば曲線上のどの点も 2 倍になる、という性質があるからこそ、一覧表の百分率は固定なのです。飽和はまったく扱っていないので、ゲイン 10 とステップ 10 を入れれば、実際のアクチュエータには出せない出力 100 を平然と予測します。
成り立たない場合
一次応答は単調です。最終値を行き過ぎることも、振動することもありません。ですから現実の系が鳴いたり、落ち着く前に目標を通り越したりするなら、それは一次系ではなく、どんな τ を当てはめても合いません。それには少なくとも二つの蓄えが必要で、そこから減衰振動子の二次的なふるまいが生まれます。むだ時間は別の壊し方をします。輸送遅れは曲線の形を変えずに全体を右へずらすだけなので、これもまた τ に吸収させることはできません。

時定数はシステム固有のものであり、ステップ幅はそうではありません 🖖

入力を変えると曲線全体が拡大・縮小しますが、時計の針は動きません。τ = 3 のとき、応答は3秒後に変化の 63.21% まで到達します — そして、ステップが 1 であっても 5 であっても、ゲインが 1 であっても 4 であっても、変わらず 63.21% を示します。タイミングに影響を与えるのは τ だけです。これを 10 に引き上げると、同じ3秒間で進む割合はわずか 25.92% に留まります。これが、どのような操作が行われたかに触れることなく、時定数がモーターや温度計、RC回路の特性として記載される理由です。ゲインとステップは出力がどこに到達するかを決め、τ だけがそこに到達するのにどれだけの時間がかかるかを決めるのです。

最初の一瞬が、どこで終わるかをすでに知っている 🖖

応答は原点を勾配 K·A/τ で出発します。その直線 — 上のオレンジの破線 — を延ばすと、ちょうど t = τ で最終値と交わります。いつでもです。ゲインがいくつでも、ステップがいくつでも、時定数がいくつでも、負のステップでも同じです。オシロスコープの波形から定規だけで、計算をひとつもせずに時定数を読む方法がこれです。立ち上がりに接線を引き、最終レベルと交わる場所を見て、その時刻を読む。その瞬間、曲線自身はまだ終わりにはほど遠く、63.21% しか進んでいません。最初の一瞬から減速し続けているからで、接線は一度も減速しなかった唯一の部分なのです。

温度計とモーターとコンデンサは同じ方程式 🖖

このページの軸に単位がないのは意図的です。τ·dy/dt + y = K·A は、何かを溜める場所が一つと、それを失う経路が一つあるものすべてを記述します。そして τ はどの場合も「溜める量の大きさ ÷ それが抜けていく速さ」です。抵抗を通したコンデンサなら R·C。風の当たる温度計なら熱容量 ÷(熱伝達率 × 面積)。回転を上げていくモーターなら慣性 ÷ 減衰。よく撹拌された槽なら体積 ÷ 流量。四つの異なる分野、一本の曲線、一つの数値です。制御工学が「一次遅れ」と言うだけで、その中身が何でできているかを一切言わずに済むのは、このためです。

全プロセスの詳細解説

  1. ステップ入力から1時定数後に63.21%に達した出力 5 ステップ

    1 次系にステップ入力を加えて 1 時定数が経過したとき、出力は 63.21% に達している。この 63.21% や、立ち上がり時間、調整時間が、このシステムの固有の性質ではないことを示せ。

    1. 支配方程式によると、出力は入力との差に比例する速度で入力を追従する。これを解くと指数関数的な接近挙動が得られ、ゲインとステップ幅は全体の係数としてのみ現れる。

    2. したがって t = τ において、到達する割合は 1 − e⁻¹ となる。ゲインとステップ幅は相殺されるため、63.21% という数値は e の性質によるものであり、このシステムの性質によるものではない。

    3. 立ち上がり時間においても同様の相殺が起こる。任意の割合に達する時刻について応答の逆関数を求め、10% と 90% の時刻の差を計算する。その差は τ ln 9 であり、ln 9 = 2.197 は無次元の数である。

    4. 偏差が 2% 以内に収まる調整時間は、残りの指数項が 0.02 まで減少する時刻を求めることになり、これは τ ln 50 = 3.912τ となる。ここでもゲインやステップ幅は影響しない。

    5. これは、すべてのプロセスを逆向きに適用できることを意味する。実機で立ち上がり時間を測定すれば τ = tᵣ/2.197 となり、ストップウォッチによる 1 回の測定だけで動特性を完全に決定できる。

    解答

    ツールには 0.632163.21%、立ち上がり時間 2.197、および調整時間 3.912 と表示される。これらはすべて τ に e 由来の定数を乗じたものであり、ゲインやステップ幅には一切依存しない。高速低速 のプリセットを順にクリックすると、その違いを観察できる。出力、定常値、および 63.21% はまったく変化しないのに対し、パネル上のあらゆる 時間 は正確に 10 倍される(2.197 は 21.972 に、3.912 は 39.120 になる)。世界に 1 次ステップ応答は 1 種類しか存在せず、τ はその応答が展開する速さを決めているに過ぎない。2 時定数で 86.47%、3 時定数で 95.02%、5 時定数で 99.33% に達する。これが工学における「5 時定数で応答は安定する」の由来である。

学習の道すじ

抵抗、そしてリアクタンス

この次に RLC共振

参考文献 (1)

例題

  • 高速な応答 - τ = 1 を t = 1 で読むと、定常値 1 までの 63.21% に達している
  • 低速な応答 - τ = 10 を t = 10 で読むと、やはり 63.21%。10倍遅くても進行度は同じで、時計が τ を単位に進むため
  • 時定数 4 個ぶん - τ = 1 を t = 4 で読むと 98.17%。ふつうこれを「完了」と呼ぶ
  • ゲイン2倍 - K = 2 で目標値は 2 になり、τ = 3 に対する t = 5 では 1.6222、つまり 81.11% まで進む
  • 負のステップ - −1 のステップは t = τ で出力を −0.6321 まで下げる。反転した道のりの、同じ 63.21%