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中心付近ではよく合い、遠くでは役に立たない
状況: 性質のよい関数を低次の多項式で近似しています。中心の近くでは正確でも、離れると誤差が急に大きくなります。
級数: ε ∝ (x − a)n+1
計算例: sin x ≈ x − x³/6 に x = 1 を代入すると 0.8333。真の値は 0.8415 で、誤差は 0.008 です。x = 3 では、真の値 0.141 に対して近似値は −1.5 になります
この例を開く: sin x、3次インタラクティブな数学・理科レッスン (ノ◕ヮ◕)ノ*:・゚✧
| テイラーの公式 | |
|---|---|
| ラグランジュの剰余項 | |
| 覚えておきたい級数 |
レッスン
a を中心とする f の n 次のテイラー多項式とは、a での関数の値と n 階までの導関数の値が f と一致する多項式です。Pn(x) = Σ f(k)(a)(x − a)k/k! と表され、和は k = 0 から n まで取ります。中心が a = 0 の場合は、マクローリン多項式ともいいます。
anRₙ(x)テイラー級数:中心からどこまで離れても使えるか
テイラー多項式は、ある一点で関数の値と n 階までの導関数の値をそろえたものです。その点を離れると、関数とのずれが生じます。ずれの増え方を左右するのは、係数が小さくなる速さと、近くに特異点があるかどうか。収束半径の内側では項を増やすと近似がよくなりますが、外側ではいくら増やしても収束しません。項を増やすより、中心を移すほうが効果的なこともあります。
01
状況: 性質のよい関数を低次の多項式で近似しています。中心の近くでは正確でも、離れると誤差が急に大きくなります。
級数: ε ∝ (x − a)n+1
計算例: sin x ≈ x − x³/6 に x = 1 を代入すると 0.8333。真の値は 0.8415 で、誤差は 0.008 です。x = 3 では、真の値 0.141 に対して近似値は −1.5 になります
この例を開く: sin x、3次02
状況: 係数の分母に階乗があるため、べき乗の増加を上回る速さで係数が小さくなります。収束半径は無限大です。
級数: xn/n! → 0, R = ∞
計算例: eˣ ≈ 1 + x + x²/2 + x³/6 + x⁴/24 + x⁵/120 に x = 1 を代入すると 2.71667。e = 2.71828 に対し、六項で有効数字三桁が合います
この例を開く: eˣ、5次03
状況: 中心から有限の距離に特異点があります。その距離より内側では級数は収束し、外側では何項まで取っても発散します。
級数: ln(1 + x): R = 1
計算例: ln(1 + x) を六項で近似すると、x = 0.8 では真の値 0.5878 に対して 0.5701。ゆっくりと収束しています。x = 1.2 では項が大きくなり、和も離れていきます
この例を開く: ln(1 + x)、収束の境界付近04
状況: 展開の中心から遠い点で精度が必要な場合です。その点の近くで展開し直せば、次数を上げずに近似を改善できます。
級数: Δa ≠ 0, Δn = 0
計算例: cos x を4次で近似し、x = 2 で比べます。真の値 −0.416 に対し、中心が0なら −0.333、中心が1なら −0.4086。誤差は十一分の一になります
この例を開く: 中心が1の cos x3次のマクローリン多項式で sin 1 を近似し、真の値を調べる前に誤差の上界を求めましょう。答えがわかって初めて計算できる上界では、近似の保証になりません。
マクローリン展開には0での導関数の値が必要です。sin の導関数は四回微分すると元に戻り、最初の四つのうち二つは0になります。そのため、多項式は短くまとまります。
P₃ は二項だけで、補正は x³/6 を引くことだけです。1 が 0.83333 まで下がり、減少はほぼ 17%。これだけ変わるなら、次の項も無視できないかもしれません。
ここで誤差を見積もれます。sin の級数は、項の絶対値が小さくなる交代級数なので、打ち切り誤差は最初に省いた項の絶対値より小さくなります。その項は x⁵/120。これを計算するのに sin 1 の値は必要ありません。
保証を確かめましょう。真の値は 0.84147 なので、実際の誤差は 0.0081377。先に求めた上界 0.0083333 に、確かに収まっています。
上界が実際の誤差に近い理由もわかります。誤差は省いた項すべての和で、この部分も符号が交互に変わります。1/5! だけでは大きすぎ、1/7! を引くと小さすぎる。そこに 1/9! を加えると、表示された誤差とすべての桁が一致します。三項でそこまで求まります。
解答
P₃(1) = 0.833333、真の値は 0.841471、誤差は 0.0081377 です。大切なのは、数値を求めた順序です。sin 1 を求める前に 1/120 = 0.0083333 という上界がわかり、実際の誤差をわずか 2.4% 上回るだけでした。精度の保証がついた近似には、たまたま値が近いだけの近似にはない価値があります。このページのラグランジュの行では、P₃ を3次多項式として扱うため、上界は 0.035061 と表示されます。次数を4にすると、sin では多項式は同じまま、ラグランジュの誤差上界も 1/120 になります。5次まで進めると、同じ考え方で 1/5040 が得られます。ラグランジュの行では、同じ多項式となる6次でこの上界が表示されます。答えの数字を一桁も計算する前に、小数第三位までの精度を保証できるのです。
eˣ の4次のマクローリン多項式で √e を近似し、e0.5 の値を使わずに誤差の上界を求めましょう。
eˣ は何回微分しても eˣ で、0での値は1です。したがって、各係数は 1/k! になります。
x = 0.5 を代入すると、
ラグランジュの誤差上界には、0 ≤ t ≤ 0.5 での5階導関数 eᵗ の最大値 M が必要です。e0.5 を知らなくても、e < 3 から e0.5 < √3 < 2 が使えます。
ページでは正確な M = e0.5 を使うため、上界はさらに小さくなります。実際の誤差も併せて見ると、どちらの上界にも収まっています。
解答
√e ≈ 1.648438。e < 3 だけから、誤差が 0.00052 未満であると保証できます。実際の誤差は 0.00028377 です。M を大きめに見積もっても、上界としての保証は有効です。ただし、保証できる精度は控えめになります。
4を中心とする √x の2次のテイラー多項式を求め、それを使って √4.1 を近似し、誤差の上界も求めましょう。
4での導関数の値は、
それぞれ k! で割ると、
x = 4.1 では x − 4 = 0.1 なので、
3階導関数 (3/8)x−5/2 は区間 [4, 4.1] の左端で最大となり、その値は 3/256 です。
解答
√4.1 ≈ 2.024844、誤差は 1.9531 × 10⁻⁶ 未満です。実際の誤差は 1.9231 × 10⁻⁶ で、上界に近い値です。4から 4.1 の間では3階導関数の値がほとんど変わらないためです。中心を4に選んだのは、そこで √x の値を簡単に求められるから。0では微分できないので、0を中心とするテイラー多項式は0次までしか作れません。
e−x² のマクローリン級数を x⁶ の項まで求め、それを使って e−x² の0から 0.5 までの定積分を近似しましょう。
e−x² を六回微分するのは手間がかかります。eᵘ の級数に u = −x² を代入しましょう。
x = 0.5 でページの値と比べると、
0から 0.5 まで項別に積分すると、
各項は符号が交互に変わり、絶対値が小さくなるので、誤差は最初に省いた項の絶対値未満です。この項は x⁸/4! の積分から得られます。
解答
積分の近似値は 0.461272、誤差は 0.0000090 以内です。真の値は 0.461281。この関数の不定積分は初等関数では表せないため、級数やリーマン和を使って値を計算します。
x → 0 のときの (sin x − x)/x³ の極限を求めましょう。
sin x を級数で置き換えると、x が消えます。
残った各項を x³ で割ると、
解答
極限は −1/6 です。ロピタルの定理でも、三回微分すれば求まります。級数ならすぐに答えが得られ、その値に近づく速さもわかります。次の項が x²/120 だからです。
解答
f⁽⁵⁾(0) = 20 です。積の微分法を五回使っても同じ値になりますが、計算はずっと長くなります。ページの先頭行には、0での関数の値と導関数の値が六つ並びます。0, 0, 2, 6, 12, 20 です。
eˣ のマクローリン級数を使って、誤差 0.0000005 未満で e を求めるには、何項必要でしょうか。
x = 1 では、n 次のラグランジュの誤差上界は M/(n + 1)! です。M は [0, 1] での eᵗ の最大値で、e < 3 を使えます。
これが初めて 0.0000005 未満になる n を探します。
したがって n = 10。定数項を含めて十一項です。ページで10次を選ぶと、
解答
10次、十一項が必要です。9次の上界は 7.4909 × 10⁻⁷ なので、この評価では十分といえません。ただし、実際の誤差は 3.0289 × 10⁻⁷ で、求める精度に達しています。上界が教えてくれるのは、計算前に保証できる精度です。9次で十分だったことは、e を計算する前にはわかりません。
学習の道すじ