リーマンの再配列

通常の順序では、1 − ½ + ⅓ − ¼ + … の和は ln 2 になります。目標値、あるいは正負の項を並べる規則を選ぶと、全く同じ項が1項ずつ、別の和に向かって進んでいく様子がわかります。

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レッスン

理論 — リーマンの再配列

ある級数が収束する一方で、その各項の絶対値の和が無限大になるとき、その級数は条件収束するといいます。リーマンは、条件収束する級数は項の順序を入れ替えることでどんな数にも収束させられることを示しました。これに対し、すべての符号を正にしてもなお収束する級数では、どんな順序で足しても和は同じになります。

各記号の意味

P, Q
使用した正の項と負の項の数(それぞれ元の順序を維持)
C
リーマンの処方箋が狙う目標値
r
長期的な比率 P/Q(和は ln 2 + ½ ln r へ向かう)

公式の導き方

  1. なぜ処方箋は目標に到達するのか。和が C 以下のときは正の項を取り、超えているときは負の項を取ります。1 − ½ + ⅓ − … の正負それぞれのグループは、それ単独で足し続けるとどんな数よりも大きくなります。そのため、和がどれだけ進んでも必ず C をまたぎ返します。またいだ直後において、C までの距離は境界を越えさせた項の大きさよりも小さくなります。そして続く項は、次に境界をまたぐまでの間、和を C に向かって引き戻す働きしかしません。項そのものが 0 に縮んでいくので、目標との距離も 0 に縮んでいきます。
  2. なぜ2乗の級数は操れないのか。各項の絶対値の和が有限の数になる場合、どんなに小さな ε に対しても、ある地点 M より先の項の絶対値の和は ε 未満になります。最初の M 項をすべて使い切った別の順序の和と、通常の M 番目までの部分和との違いは、M より先の項によるものしかありません。つまり、その差は ε 未満になります。したがって、どちらの順序でも極限は同じになります。処方箋は別の側面からも破綻します。各符号の項が無尽蔵に供給される必要がありますが、この場合は正も負も供給が有限なのです。

1 − ½ + ⅓ − … の順序を入れ替えると和がπになる 🖖

πを目標にするを押してみてください。ここまでの和がπ以下のときは正の項 1, ⅓, ⅕, … を取り、πを超えているときは負の項 ½, ¼, ⅙, … を取ります。正負それぞれのグループは元の順序を守るため、同じ項が二度使われることはありません。100,000項までの和は3.1415535となり、99,259個の正の項に対して741個の負の項が使われます。灰色の線は通常の順序であり、まだ0.6931422で ln 2 に向かっています。この処方箋は、リーマンが1854年にゲッティンゲン大学の大学教授資格を取得するために提出した三角級数に関する論文に由来します。正の項だけを足し続けるとどんな数よりも大きくなり、負の項だけでも同じことが言えるため、合計値は必ず再び目標値をまたぎます。一度またぐと、そこから目標値までの距離は直前に足し引きした項の大きさよりも小さくなります。そして、項そのものが次第に0へ縮んでいくのです。

和は一つの比率で決まる:負の項1つに対して使う正の項の数 🖖

正負それぞれのグループの順序を保ちつつ、長期的な比率 r で正の項と負の項を消費していくと、和は ln 2 + ½ ln r に向かいます。正1つに負2つを押してみてください。先ほどと同じ項を使っていますが、和は0.3465736、つまりちょうど ln 2 の半分に近づいていきます。正を9つ、負を4つにすれば ln 2 + ½ ln(9/4) となり、これは ln 3 です。この公式を逆から読めば、目標値の「値段」がわかります。πを得るには負の項1つにつき e2(π − ln 2) = 133.87 個の正の項が必要であり、先ほどの 99,259 対 741 という比は 133.95 になります。0を目標にするを押してみましょう。この処方箋には規則性という概念がありません。しかし100,000項すべてにおいて、項を1つずつ見ていくと、見事に正1つに対して負4つが取られており、ln 2 + ½ ln ¼ = 0 となっています。下のパネルでは、正の項の占める割合が目標値の要求する場所へ落ち着いていく様子がわかります。

項を2乗すると、どんな順序でも和を動かせない 🖖

1 − ¼ + 1/9 − 1/16 + … に切り替えてみましょう。この級数では正の項をすべて足しても π²/8 = 1.2337006 にしかならず、負の項をすべて足しても π²/24 です。したがって、すべての項を使い切る順序はどれも π²/12 = 0.8224670 で終わります。どんな規則でも試してみてください。リーマンの処方箋はここで行き詰まります。2乗の級数で1.5を狙うを押してみましょう。100,000項すべてが正の項になり、和は1.2336981で頭打ちになります。代わりに0.8を狙うと、1,000項の時点では 0.8000080 とうまくいっているように見えます。しかし、100,000項の時点で和は 0.8016482 から動けなくなります。未使用の負の項をすべて足しても、超過している 0.0016482 を削り切れないからです。リーマンは境界線をまさにここに引き、ディリクレの功績としました。すべての符号を正にしてもなお収束する級数ならば、項をどこへ動かしても和は変わりません。順序によって和が変わるのは、そうでない級数だけなのです。

全プロセスの詳細解説

  1. どの規則なら和が ln 3 になり、どの規則なら 1.5 になるか? 4 ステップ

    1 − ½ + ⅓ − … の順序を入れ替え、正の項 p 個と負の項 q 個を繰り返して和が ln 3 になる規則を作ってください。続いて、和が 1.5 になる規則を見つけてください。

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    1. 元の順序のまま正の項を P 個、負の項を Q 個使ったとき、その合計は奇数の逆数の和から調和級数の半分を引いたものになります。そしてこの二つはどちらも、調和級数 Hn = 1 + ½ + … + 1/n の姿を変えたものです:

    2. Hn は ln n + γ に、0へ縮んでいく余剰分を加えたものであり、3つの γ は相殺されます:

    3. ln 3 を得るためには、比率 r = p/q が ½ ln r = ln 3 − ln 2 を満たす必要があります:

    4. 1.5 を得るために同じ方程式を解くと、どんな規則にも生み出せない比率が求められます:

    解答

    正の項を9つ、そのあとに負の項を4つ続けると、和は ln 3 になります。ページ上の表示では100,000項の時点で 1.0986331 となり、1.0986123 へ近づいています。和が 1.5 になる繰り返し規則は存在しません。必要な比率は e³/4 = 5.0214 ですが、e は超越数なので e³ は無理数となり、整数からなるどんな規則でも届きません。5対1の規則なら 1.4978661 に向かいます。それでもリーマンの処方箋は目標に到達します。比率が自由に変化できるため、1.5 を狙うと正の項 83,393 個と負の項 16,607 個(負の項1つにつき 5.0216 個の正の項の割合)を使い、1.5000022 に達するのです。

学習の道すじ

無限級数と収束

参考文献 (2)