ローレンツ・アトラクタ

ほぼ同じ初期値から、1963年の方程式を二回解いてみよう。二つの軌道がどこで離れ始めるのか。そして、離れた後も何が共通しているのかを観察してほしい。

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レッスン

理論 — ローレンツ・アトラクタ

1963年、エドワード・ローレンツは対流を三つの数と三つの方程式に切り詰めた。ẋ = σ(y − x)、ẏ = x(ρ − z) − y、ż = xy − βzである。ここで x は流体の渦の回転速度、y は上昇流と下降流の温度差、z は垂直方向の温度分布が直線からどれだけ歪んでいるかを表す。σ = 10 と β = 8/3 は彼の定めた値であり、ρ は加熱量で、このページの操作対象だ。アトラクタとは、過渡状態が消え去った後に軌道が行き着く集合を指す。ρ = 24.7368 未満では、それは一定の速度で回転する定常な渦という単一の点になり得る。それを超えると軌道は決して落ち着くことがなく、そこを満たす集合は点や曲面にはない性質を持つようになる。

各記号の意味

σ
プラントル数。10に固定されている。流体中で運動量が伝わる速さと、熱が伝わる速さを比較したものだ
ρ
加熱量であり、このページの操作対象だ。レイリー数をその臨界値で割ったものであり、ρ = 1 は流体が動き始める点となる
β
8/3 に固定されている。ローレンツが仮定した対流渦の形状によって定まる値だ
∇·F
体積収縮率であり、−σ − 1 − β となる。どこでも同じ値であり、これがアトラクタに体積がない理由だ
λ₁
最大リアプノフ指数。ここでは二つ目の点を押し出して再規格化することで測定される。正の値は、隣接する状態が離れていくことを意味する
前提
三つの数が流体を表現できると仮定している。実際には不可能であり、ローレンツもそれを知っていた。この系は対流を三つのモードだけ残して他を切り捨てたものであり、いわばモデルのモデルだ。この切り捨てを生き延びたのは、引き伸ばしと折りたたみの計算構造そのものだ。だからこそ、対流のことが忘れ去られた後でも、この図形は見る価値がある。数値積分にはステップ幅 0.005 に固定した4次のルンゲ・クッタ法(RK4)を用いている。あえて適応的ではなく固定幅にしているのは、二つの軌道の違いが、あなたが設定した初期値の差だけになるようにするためだ。
成り立たない場合
天気の描写としては、ほぼ即座に破綻する。実際の対流には境界や水蒸気があり、連続的なモードが存在する。ここにある数値は、実際に測定できる単位を持った温度や速度ではない。時間軸はこの系独自のものであり、それを日数に換算するのは結果ではなく選択にすぎないため、このページでは換算を行っていない。リアプノフ指数はアトラクタ全体の平均値にすぎず、局所的な変動率は大きく異なる。だからこそ、穏やかな日に出された予報は平均値が示唆する以上に価値があるのだ。それこそがアンサンブル天気予報で測定されていることである。ρ を 31 より大きくしてみると、様子はまた変わる。カオスの領域内に周期窓が開閉し、軌道が閉じたループに着地することもある。

二つの軌道は離れていくが、同じ図形を描き続ける 🖖

曲線を埋め尽くす時間を押し、二つ目のグラフを見てほしい。zが最大値に達するたびに、それを一つ前の最大値に対してプロットしている。軌道Aは268個、軌道Bは266個の点を持ち、全534個が一本の曲線上にある。幅17.75のグラフ上で測ってみると、軌道Bの点の半分は、軌道Aの隣接する点を通る線から0.011以内に収まっている。二つの軌道が最後に一致したのは t = 24.78 のときであり、最終的には 11.9 も離れてしまう。幅38のアトラクタ上でこれだけ離れるということは、単純に全く違う場所にいるということだ。予測モデルは軌道がどこにあるか教えてはくれない。しかし、グラフ上のこの曲線だけは最初から揺るぎない事実なのだ。

体積はないが、曲面でもない 🖖

フローの三つの対角項を足し合わせると、∇·F = −σ − 1 − β = −13.6667 になります。これは空間のどの点でも、どのρの値でも変わりません。そのため初期状態の塊は、一単位時間が経過すると体積が百万分の一になり、60単位時間後には 7.6 × 10⁻³⁵⁷ にまで縮んでしまいます。軌道が最終的に行き着く先の体積はゼロなのです。それは点にはなりえません。ρ = 24.7368 よりも大きいと二つの定常ロールはどちらも不安定になり、軌道はそこから弾き出されるからです。かといって面にもなれません。滑らかなフローの二つの軌道は決して交わることはなく、このように巻き込まれるためには面を突き抜ける必要があるからです。残されるのはその中間にあたる奇妙な図形であり、その次元は 2.0622 となります。

ρ = 24.7368 未満では、方程式は二つの答えを保持する 🖖

ρ = 24.4 における二つのプリセットは、一つの設定だけが異なります。(1, 1, 20) から出発した場合、双子の軌道のずれは 10⁻⁹ から 8.889 へと広がり、軌道は左右の翼の間を 96 回行き来します。一方で右側のロールのそばから出発すると、まったく同じ方程式であるにもかかわらず二つの軌道はそこに巻き付いて落ち着き、ずれは 1.4 × 10⁻¹⁰ と最初の七分の一に縮んで終わります。定常ロールとストレンジ・アトラクターはどちらもそこに存在しています。どちらに行き着くかを決めるのは加熱の強さではなく、どこから出発したかなのです。物理学者は 24.7368 での分岐を亜臨界と呼びますが、この言葉はまさにこうした振る舞いを指しています。

全プロセスの詳細解説

  1. 状態が一辺1の立方体のどこかにあるとします。10単位時間後、その立方体はどのような姿になるでしょうか。 6 ステップ

    アトラクター上のどこかに、一辺1、すなわち体積1の立方体があるとします。現在の状態がこの領域に収まっていることだけが分かっているとして、そこから10単位時間だけ発展させてみましょう。 先へ進む前に、この立方体がどのような形になり、体積がいくつになるかを少し考えてみてください。考えがまとまったら、The classic runを押してツールをρ = 28に設定してください。

    この問題をツールで開く

    1. リアプノフ指数は各方向に対応して三つありますが、実際に求める必要があるのは一つだけです。流れに沿った方向には伸びも縮みも生じないため、λ₂ = 0 となります。結果の表にある再規格化から λ₁ = 0.9059 が得られます。残る三つ目は測定すら不要です。三つの指数の和は体積の収縮率と一致しなければならず、その収縮率はあらかじめ厳密に分かっているためです。

    2. したがって、λ₃ = ∇·F − λ₁ = −13.6667 − 0.9059 = −14.5726 と求まります。この極端な偏りを見てみましょう。縮む方向の力は伸びる方向の16倍も強くなっています。塊が丸みを帯びたままではなく、平たく潰れていく理由はまさにここにあるのです。

    3. 次に、それぞれの方向に t = 10 を適用してみましょう。立方体の各辺の長さは e^(λt) 倍になります。

    4. これら三つの倍率を掛け合わせると、体積が求まります。すなわち 8,594 × 1 × 5.15 × 10⁻⁶⁴ = 4.43 × 10⁻⁶⁰ です。一方で全体の収縮率を使えば、三つの方向を一切持ち出すことなく e^(−13.6667 × 10) = 4.43 × 10⁻⁶⁰ と同じ答えが導かれます。このように二つの計算ルートが一致することが、求めた指数が正しいことの確認になるのです。

    5. ここからが、計算結果が突きつけてくる事実です。アトラクターの幅はx方向に約38、高さはz方向に約46ですが、あの立方体は長さ8,594の帯に引き伸ばされています。帯が収まるべき空間の幅の226倍にもなる長さです。したがって、軌道を周回するたびに何度も折りたたまれ、そのたびに既存の層の上に新たな層が積み重なっていくことになります。

    6. このように層が重なってできた物体は、面よりは分厚く、立体よりは薄い存在となります。それが具体的にどの程度の厚みなのかは、次元が教えてくれます。D = 2 + λ₁/|λ₃| = 2 + 0.9059/14.5726 = 2.0622 です。この 2 は面を、0.0622 は折りたたみを表しています。

    解答

    長さ8,594、幅1、厚さ5.15 × 10⁻⁶⁴、体積4.43 × 10⁻⁶⁰の帯となり、それが幅38の空間の中に幾重にも折りたたまれて収まっています。この折りたたみこそが、アトラクターが平坦な面ではなく2.0622次元になる理由です。そして同時に、自分が今どの層にいるのか特定できなくなる理由でもあります。それはつまり、軌道の正確な現在地が分からないということと同じなのです。

学習の道すじ

天気予報の仕組み

参考文献 (4)