コンデンサーと蓄えられるエネルギー

コンデンサーの容量、電源電圧、抵抗値を設定し、電圧を何段階で上げるかを選びましょう。充電を少しずつ進めると、電源から供給されたエネルギーが、コンデンサーに蓄えられる分と熱になる分に分かれていく様子を確かめられます。下の図では、電池を外した場合とつないだままの場合で、極板を引き離したときの変化を比べます。

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レッスン

理論 — コンデンサーと蓄えられるエネルギー

コンデンサーは、絶縁体を挟んで向かい合う二つの導体です。片方に+Q、もう片方に−Qの電荷を与えると、間に電圧Vが生じます。このときの比C = Q/Vを電気容量といい、単位にはファラドを使います。面積Aの平行な極板を間隔dで置いた場合はC = ε₀εᵣA/dです。充電されたコンデンサーには、エネルギーU = ½CV² = Q²/2Cが蓄えられます。電圧Vが一定の電源が電荷Qを移動させるとき、供給するエネルギーはQVで、最後に蓄えられる量の2倍です。

各記号の意味

C
電気容量。単位はファラド。電圧あたりに蓄えられる電荷を表します。ファラドは非常に大きな単位なので、このページではマイクロファラドやピコファラドを使います
Q
各極板の電荷。単位はクーロン。両極板の電荷は大きさが等しく、符号が逆です
V
極板間の電圧。電源については、流れる電流によらず一定に保つ電圧を表します
U
極板間の電場に蓄えられるエネルギー。単位はジュール
εᵣ
極板間を満たす物質の比誘電率。真空では1、空気ではほぼ1です。絶縁体を入れたとき、電気容量が真空中の何倍になるかを表します
d
極板間の距離。電気容量は1/dに比例するので、間隔を半分にすると2倍になります
N
電源電圧を等間隔で上げる段数。各段階での電圧上昇はV/Nです
前提
部品は理想的なものとします。コンデンサーには漏れ電流も内部抵抗もなく、電源は電圧を正確に保ち、抵抗はオームの法則に従います。各段階では時定数の15倍の時間だけ待ってから、次の電圧へ進みます。その時点で残る未充電分は、全変化量の百万分の一をさらに3/10にした程度です。極板も理想化し、極板間の電場は一様として、端から外へ広がる電場は無視します。間隔が極板の幅に比べて十分小さければ、よい近似になります。また、極板はゆっくり動かし、電池との間を流れる電流による発熱は無視できるものとします。

10段階に分けると、発熱量は1/10に 🖖

10段階で充電を押してみましょう。充電後の電圧は12 V、蓄えられたエネルギーは7.200 mJで、一度に充電した場合と同じです。抵抗で生じた熱は7.200 mJから720.0 µJに減っています。電圧をΔVだけ上げるたびに生じる熱は½C(ΔV)²。この二乗が効いてきます。1.2 Vずつ10回上げた場合の発熱量は½C(1.2 V)²の10倍で、½C(12 V)²の1/10です。供給エネルギーのうち蓄えられる割合は1/2からN/(N+1)に増え、10段階なら90.91%、100段階なら99.01%になります。電源電圧を十分ゆっくり、なめらかに上げれば、損失はほぼなくせます。この方法は段階充電と呼ばれ、断熱充電の手法の一つです。大型パワートランジスタのゲートやクロック配線、タッチセンサーなど、容量性負荷の駆動に使われます。

抵抗値が変えるのは充電の速さ。発熱量は同じ 🖖

10 Ωで充電、続いて1 MΩで充電を押してみましょう。電圧を上げた瞬間の電流は、前者が1.200 A、後者が12.00 µAで、100,000倍の開きがあります。その瞬間の消費電力も同じ比率で違います。それでも発熱量の行は、どちらも7.200 mJです。小さな抵抗では短時間に大きな電力を消費し、大きな抵抗では小さな電力を長時間消費します。時間に対するI²Rのグラフで見ると、面積は同じになります。電荷の移動に注目すると、その理由がわかります。電荷はどれも12 Vの電源から送り出されますが、受け取る側のコンデンサーの電圧は、移動する電荷について平均すると6 Vです。この差に相当するエネルギーは、途中で熱になります。その総量を求める式に、抵抗値は出てきません。

極板を離すと、蓄えられたエネルギーが減ることもある 🖖

間隔を3倍に広げるを押してみましょう。左では先に電池を外してあるので、電荷は極板にとどまります。極板間の電場は電荷だけで決まり、100 kV/mのままです。電圧は電場と間隔の積なので、3倍の300.0 Vになります。蓄えられるエネルギーも3倍。その増加分3.542 µJは、極板を引くために加えた仕事です。右では電池が電圧を100 Vに保っています。電気容量は1/3になり、電荷の2/3が電池に戻って、蓄えられたエネルギーは590.3 nJに減ります。極板は引き合っているので、引き離すには仕事が必要です。その大きさは1.181 µJで、コンデンサーから減ったエネルギーと等しくなります。この両方が電池に戻るため、電池が受け取るエネルギーは2.361 µJ。加えた仕事の2倍です。この2倍という関係は、極板の面積や電圧、移動前後の間隔によらず成り立ちます。

全プロセスの詳細解説

  1. 途中で使う電圧をどう選ぶか 6 ステップ

    100 µFのコンデンサーを、1 kΩを通して12 Vまで充電します。電源には、最初に切り替えて使える別の出力が一つあります。一度に12 Vまで上げると、発熱量はいくらでしょうか。途中で4 Vの出力を使う場合、6 Vを使う場合はどうでしょう。中間の電圧を一つだけ選ぶなら、何Vが最適でしょうか。また、発熱量を蓄えられるエネルギーの1%以下にするには、何段階に等分すればよいでしょうか。

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    1. まず、一度に充電する場合を考えます。電源は電荷1.2 mCを12 Vで送り出し、14.40 mJを供給します。コンデンサーに蓄えられるのは½CV² = 7.200 mJなので、抵抗で生じる熱は7.200 mJです。画面でN = 1とした場合にあたります。

    2. コンデンサーに加える電圧をΔVだけ上げたときの発熱量は、抵抗値にも充電前の電圧にもよらず、½C(ΔV)²です。途中でx Vの出力を使えば、電圧上昇は二回になり、発熱量の合計は½C[x² + (12 − x)²]になります。

    3. 4 Vを経由する場合は、½ × 100 µF × (16 + 64) V² = 4.000 mJです。8 Vを経由しても、電圧上昇の順序が入れ替わるだけなので、同じ値になります。

    4. 6 Vを経由する場合は、½ × 100 µF × (36 + 36) V² = 3.600 mJで、一度に充電する場合の半分です。画面でN = 2にすると、発熱量の行で確かめられます。

    5. 中間の電圧は何Vが最適でしょうか。x² + (12 − x)²が最小になるのは、傾き2x − 2(12 − x)がゼロになる点、つまり中点のx = 6 Vです。段数を増やしても、同じ考え方が使えます。電圧上昇の合計がVで一定なら、二乗の和は各段階の上昇幅が等しいときに最小となり、その値はN(V/N)² = V²/Nです。

    6. 段階に分けて充電するなら、等間隔にするのが最適です。この画面でも等間隔だけを扱います。そのときの発熱量は、蓄えられるエネルギーをNで割った値です。7.200 mJの1%以下にするには、Nを100以上にする必要があります。

    解答

    一度に充電すると7.200 mJ、4 V経由なら4.000 mJ、6 V経由なら3.600 mJです。中間の電圧が一つなら中点が最適で、いくつか設けるなら等間隔にするのが最適です。そのとき、発熱量 = ½CV²/Nとなります。蓄えられるエネルギーの1%以下に抑えるには100段階が必要で、段数を比べる表の最終行に、その発熱量72.00 µJが示されています。この画面では等間隔の場合を扱っています。4 Vを経由する例のように間隔が不ぞろいだと、発熱量は必ず増えます。どれだけ増えるかは、手順2の二乗の和で求められます。

学習の道すじ

抵抗器ではないもの

参考文献 (2)